レジリエンスを高める7つの技術 | ②「思い込み」を手なずけよう!

日々のストレスやプレッシャーと上手に付き合う方法として「レジリエンスを高める7つの技術」の連載をしています。


前回は、1つ目の技術「ネガティブ感情の悪循環から抜け出そう!」の詳細を解説しました。

それでは今回は、2つ目の技術「思い込みを手なづける技術」についてご紹介します。

レジリエンスとは
全米心理学会によると「逆境や困難、強いストレスに直面したときに適応する精神力と心理的プロセス」と定義されています。

「レジリエンス」を高める目的は、強いストレスを感じても柔軟に受け流し、打たれても立ち上がる逆境に強い心を育てることです。

目次

ネガティブ感情の根底にある「マイナスの思い込み」

あなたは、プレゼン前日や苦手な仕事の前に不安になることはありませんか?
過去に失敗した経験を思い出しネガティブな気持ちになることはありませんか?

・こんなプレゼンしても誰の役にも立たないだろうな…
・前回も失敗したし、また明日もうまくいかないだろうな…
・頑張って準備してもどうせダメ出しされるだけだ

私たちは常に自分自身と会話(自己対話)しています。ストレスを感じたとき、自己対話がネガティブになる場合があります。
例えば、「仕事で失敗してしまったな。」→「なんてダメなんだろう、私は」といったように、自分の価値を下げてしまう自己対話がネガティブな自己対話です。

このようなネガティブな自己対話を繰り返し、癖となったものが「マイナスの思い込み」です。

マイナスの思い込みは、過去の経験によって心の根底に生まれたネガティブ感情が原因になっていることが多いです。
そのため、マイナスの思い込みを自覚し、冷静に対処する方法を身に付けることが大切です。

マイナスの思い込み7つ〜誰もが飼っている思い込み犬〜

心理学者イローナ・ボニウェル博士は、マイナスの思い込みを7種類に分類し、それぞれに「犬」の名前をつけています。

【7種類の思い込み犬】
正義犬・②批判犬・③負け犬・④心配犬・⑤謝り犬・⑥諦め犬・⑦無関心犬

「犬」の名前をつけている理由は、思い込みは生まれ持った自分の性格ではなく、「心の中に思い込み犬がすみついただけ」と気楽に感じ、適切に対処するためです。

思い込み犬は誰もが飼っています。思い込み犬と上手く付き合う方法を学んでいきましょう!

マイナスの思い込みに上手く対処する方法

思い込みに対処するためには、自分のマイナスの思い込みのパターンを自覚することが重要です。

1. ネガティブ感情になる出来事を書き出す

まずはストレスを感じた時やネガティブな感情になった時の自分の気持ちを書き出してみましょう。

2. そのとき、どの思い込み犬が強く吠えていたかをチェック

ネガティブな感情になった時、どのような思い込みが強かったか確認してみましょう。

【思い込み犬の種類】
正義犬:それは不公平だ、間違っているよ!
【べき思考】何が公正で何が正しいかを常に気にする。自分の意見を曲げない。
不公平なことが起きた時、「怒り」「嫉妬」の攻撃的な感情を生じさせる。

批判犬:私は悪くないもん、あなたが悪い!
【他責思考】他人を非難し責任転嫁する。頑固で意見を変えない。
あいまいな状態に耐えられず、物事の白黒をはっきりさせたがる。「怒り」や「不満」の感情を生じさせる。

負け犬:私なんかどうせ役に立たないよね…
【減点思考】他人と比べて、自分の足りないところを気にする傾向がある。他人との比較を恐れて、人前に出ることを避けたがる。
「悲しみ」「憂うつ感」「羞恥心」などのネガティブな感情を生じさせる。

心配犬:また失敗しちゃうかも…不安だ。
【悲観思考】マイナス思考で、今後も失敗するかもとすぐ不安になる。
「不安」や「恐れ」など、消極的な行動につながる感情を生じさせる。

謝り犬:私のせいで迷惑をかけてしまった…私が全て悪いんだ。
【自責思考】何か悪いことが起きた時、全て自分のせいで起こったと自分を責める。
「罪悪感」「羞恥心」など、自己肯定感を下げるネガティブな感情を生じさせる。

諦め犬:私が頑張ったところで、どうせ上手くいかないよね。
【無力思考】自分を信じていないため、自分の力で物事を良い方向に進めることがことができないと勝手に決めつけている。
「不安」「憂うつ」「無力感」などの感情を生み、行動意欲を低下させる。

無関心犬:興味ないし、私には関係ないことだもん。
【無責思考】物事に無関心で面倒なことを避けようとする。
「疲労感」を生じさせ、自分だけでなく周囲の意欲も喪失させてしまう。

3. 思い込み犬に対処する3つの選択肢

(1) 追放

《思い込み犬の内容が何の根拠もなく非現実的な場合》
→ネガティブ感情が足をひっぱり続けて「損な思い込み」と感じれば、思い切って思い込み犬を手放す。

(2) 受容

《思い込み犬の内容が理にかなっており現実的な場合》
→その言葉や感情を受け入れる。一度受け入れたら気にしない。

(3) 訓練・手なずけ

《思い込み犬の内容が100%間違いではなく、今後もつきあえる場合》
→過剰に反応している思い込み犬を訓練して上手く手なずけましょう。

【手なずける方法】
別の選択⋯「他の見方はないか」とあらゆる原因の可能性を検討する
発想の転換⋯「その思い込みに何の意味があるのか」と考えを切りかえる
検証⋯「変えられる側面はないか」を検討する

【事例】プレゼン前日の不安への対処法

  1. ネガティブ感情を書き出す
    ・明日のプレゼン嫌だな。失敗したらどうしよう、とても不安だ。

  2. 思い込み犬の確認
    (1) こんなプレゼンしても誰の役にも立たないだろうな… →③負け犬

    (2) 前回も失敗したし、また明日もうまくいかないだろうな… →④心配犬

    (3) 頑張って準備してもどうせダメ出しされるだけだ… →⑥諦め犬

  3. 対処
    (1) ③負け犬の対処
    追放
    役に立つかどうか判断をするのは、プレゼンの聞き手だから、私が今そんなことを考えても仕方ない(無意味なことを考えるのはやめよう)。

    (2) ④心配犬の対処
    訓練・手なずけ(検証)
    少しでも自信を持てるように、明日に向けてできる限り練習しよう。

    (3) ⑥諦め犬の対処
    訓練・手なずけ(別の選択)
    指導(ダメ出し)してくれることは、自分の成長につながるし、ありがたいことだとポジティブに考えよう。

まとめ

みなさんの心の中には、知らず知らずのうちに「思い込み犬」がすみついています。

自分の思い込み犬のパターンを知り、思い込み犬を手なずけることで、ネガティブ感情と上手く付き合いましょう!
すっと気持ちが楽になりますよ。みなさんが、今よりも前向きで穏やかな日々を送れますように。

次回は、【技術3】自己効力感(やればできるという自信)を身につける技術をお伝えしますね。

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