前回からストレスやプレッシャーと上手に付き合う方法として「レジリエンスを高める7つの技術」の解説をしています。
今回から、「レジリエンスを高める7つの技術」の詳細を順番に解説していきます。
今回は、1つ目の技術「ネガティブ感情の悪循環から抜け出す技術」の詳細をご紹介します。
レジリエンスとは、
全米心理学会によると「逆境や困難、強いストレスに直面したときに適応する精神力と心理的プロセス」と定義されています。
「レジリエンス」を高める目的は、強いストレスを感じても柔軟に受け流し、打たれても立ち上がる逆境に強い心を育てることです。
あなたは、ストレスを感じやすい人ですか?
ストレスを感じやすい人と、感じにくい人の違いは何なのでしょうか?
誰でも、失敗もすれば、ネガティブな出来事にも直面します。
しかし、同じ失敗やネガティブな出来事でも、それに反応して生まれてくる感情は人によって大きく異なります。
ストレスを感じにくい人は、ネガティブな出来事に直面しても、問題を必要以上に複雑化しません。そのため、ネガティブ感情の負の連鎖が生まれにくいのです。
今回は、ネガティブ感情の負の連鎖を起こさないためのコツをお伝えしたいと思います。
ネガティブ感情をラベリングして「見える化」しよう!
複雑化したネガティブ感情に上手く対処するためには、その感情の正体を把握することが重要です。正体が見えないとパニックになったり、どんどん不安になってしまいます。
ラベリングして「見える化」することで、ネガティブ感情の正体を明らかにしましょう!冷静さを取り戻し、適切に対処しやすくなります。
【失望】:自分は仕事ができない。使えない奴と思われているかも…
【恐れ】:上司に怒られる!
【焦り】:やばい、期限に間に合わない!
【不安】:明日のプレゼン嫌だな。失敗したらどうしよう…
【罪悪感】:私の失敗でチームに迷惑をかけてしまった…
私の場合は、特に仕事関係で不安を抱えることが多いです。不安で仕事が進まない、全く手が付かなくなってしまうこともありました。このような不安や恐れなどの感情が生じたら、まずは立ち止まって、ラベリングをするだけでも気持ちが落ち着き、頭を切り替えることができます。
ぐるぐるとネガティブ思考が頭の中で大きく膨れ上がることを、スパッと断ち切ることもできます。
気晴らしによって気持ちを切り替えよう
ネガティブ感情が生まれる出来事があった場合には、できるだけ早く、気晴らしを行うことが大切です。その日のうちに行いましょう!
科学的根拠のある4つの「気晴らし」方法をご紹介します。ぜひ実践してみてくださいね。
運動系
一定のリズムで身体を動かす有酸素運動が効果的です。具体的には、ジョギング、水泳、ダンスなどです。
まとまった時間を確保できない人は、外に出て早足で散歩するだけでも十分気分転換ができますよ。
呼吸系
ストレスを感じたら、鼻から長く深くゆっくりと息を吸うことを意識して心を落ち着かせましょう。呼吸を整えることで、幸せホルモンの「セロトニン」が脳から分泌されますよ。
毎晩寝る前に10分〜15分程度行うなど習慣にすると良いでしょう。効果的な呼吸法が分からないという人は、携帯の瞑想アプリやYouTubeを活用するのもおすすめです。
音楽系
好きな音楽を聞くと、脳からやる気ホルモンである「ドーパミン」が分泌されます。不安や落ち込んだ気持ちからポジティブな気持ちに切り替えることができます。聞くことはもちろん、演奏するのも効果的です。
筆記系
ネガティブ感情が生まれたら、その時の自分の気持ちや考えを文字にしてみましょう!
日記や手紙など、どんな形でも大丈夫です。文字にすることで、ネガティブ感情を整理でき、頭をクールダウンさせることができます。
ただ、SNSは人の目を意識して自分をよく見せようとしがちですので、誰にもみられない方法がおすすめです。
私の経験だと、呼吸と筆記を行うことで気持ちが切り替えられることがよくありました。特に呼吸については、いつでも・どこでも・お金もかけずにできるという利点があるため、呼吸法を身に付けることが個人的にはおすすめです。
ストレス状況に応じて、どんなアクションをとることが気持ちを切り替えるために有効か、様々な方法を試して自分に合った方法を見つけてみてください。
ネガティブ感情の連鎖を断ち切る方法
ネガティブ感情の連鎖を引き起こす一番の原因は、「失敗経験」です。
失敗によって人は成長するため、失敗そのものが悪いわけではありません。
しかし、失敗が続くと自信も喪失しますし、人に迷惑をかけてしまったことの罪悪感や、会社からの評価も気になり、ネガティブになってしまいますよね。ネガティブ感情の連鎖を断ち切るためには、失敗と正しく向き合い、次に活かすことが肝要です。
失敗したときの適切な対処方法を学んでいきましょう!
失敗したときの対処方法
【ステップ1】失敗を経験したら、失敗を3つの種類に分類する
まず、失敗を①予防できる失敗、②避けられない失敗、③知的な失敗のいずれかに分類します。
【ステップ2】不必要に自責の念を持たない
全ての失敗に対して自責の念を感じていては、心の健康を保つことはできません。必要以上に自責の念は持たないようにしましょう!
【ステップ3】失敗の種類に応じて適切な対応を取り、積極的に学習する
①予防できる失敗
プレゼンで時間配分を間違えてしまった。意見交換の時間がほとんど取れなくなってしまった。事前にしっかり準備しておけば防げる失敗が、「予防できる失敗」です。
【対処方法】
失敗の原因を理解し、事前準備や学習を重ね同じ失敗を繰り返さないように学習します。
②避けられない失敗
今の世の中は複雑なシステムです。例えばPCやモバイルの中身は超複雑ですし、製造過程は世界中のいろんな企業といろんな人が関わってできています。それが全体として一つのシステムとして機能して、私たちはPCやモバイルを操作しています。どこかで部品の調達が不足したら、それが全体に関わってきます。
「避けられない失敗」とはそういう大きなシステムの中のエラーから生じる失敗のことです。いつも通りの方法で回避できるものでなく、不確実性から生じる失敗です。
【対処方法】
責任を感じる必要はありませんが、仕事のプロセスや意思決定の手順が複雑な可能性もあるので、見直してみましょう。
③知的な失敗
最近イノベーションという言葉が盛んに聞こえてきますが、イノベーションは簡単に生まれるものではありません。数多くの実験をして、その中でようやく生まれるものがイノベーションですが、その実験過程の失敗が、この「知的な失敗」にあたります。試行錯誤の中で生じる失敗のことです。
【対処方法】
失敗から学び、経験を活かすことで自分を向上させます。
まとめ
「予防できる失敗」は反省する必要がありますが、「避けられない失敗」・「知的な失敗」では罪悪感を感じる必要はありません。
0か100かの思考で物事をすべて白か黒かで捉えてしまい「中間」を考えられない人も多いかもしれませんが、決して全てがそうではありません。ぜひネガティブ感情を断ち切るためにも、今回紹介した技術を繰り返し実践してみてくださいね!
次回は【技術2】「思い込み」を手なづける技術をお伝えしていきます。
次回の「レジリエンスを高める」連載でお会いしましょう!それではまた!