よく晴れた朝、太陽の光を浴びると、「気持ちが良い」と感じるとことはありませんか?
私も目覚まし時計ではなく、太陽の光で目が覚める瞬間がとても好きです。この心地よさには、脳内物質の一つである「セロトニン」という神経伝達物質が大きく関わっています。
「セロトニン」とは?精神バランスを整える
セロトニンとはどんな物質なのでしょうか。
セロトニンは人の精神面に大きな影響を与える“三大神経物質”の一つです。脳の働きが活発になり、頭の回転や、直観力を上げることもできます。
セロトニンが不足すると精神バランスが崩れ、暴力的になったり、慢性的なストレス、疲労、イライラ感、不眠、うつ病などにつながる可能性もあります。
セロトニンと精神安定剤の分子構造は似ていて、ストレス緩和に大きな役割を果たしています。セロトニンは、やる気や幸福感をもたらす脳内神経物質の9割を占めることから、「幸せホルモン」とも呼ばれています。
セロトニンを増やす方法
現代人の多くはセロトニンが不足していると言われています。心身の健康を保つために、セロトニンの分泌を促す方法をご紹介します。
1.朝、日光を浴びる
セロトニンは日光を浴びることで分泌されます。セロトニンは寝ている間にはほとんど生成されません。そのため、朝の過ごし方が重要です。日光を朝、目が覚めてから30分以内に浴びることが大切です。
ただ、セロトニンは無限に生成されるものではないので、1日に15分~30分ほど、日光を身体に取り込んでみて下さい。
2.体を動かす
セロトニンを生成するセロトニン神経は、一定のリズムの運動で活性化されます。適度な有酸素運動がおすすめです。ランニングやウォーキングはもちろん、食事をよく噛むこと、ゆっくりと繰り返す腹式呼吸なども効果的です。腹式呼吸によって横隔膜を動かすことで、セロトニンは十分に分泌されます。
また、運動する時間のない朝、朝食をしっかり噛んでとることは、セロトニン分泌のために意識したい習慣です。
3.食生活を見直す
セロトニンのもとになっている必須アミノ酸トリプトファンは身体の中では作られません。そのため、トリプトファンが多く含まれている魚類、肉類、卵、大豆製品、乳製品などを積極的に食べる必要があります。カツオやマグロ、豆腐、牛乳やチーズ、ナッツやバナナなどがおすすめです。
また、ビタミンB6などもセロトニンの生成に必要です。赤身魚やヒレなどの脂が少ない肉類、パプリカやサツマイモは、ビタミンB6が豊富なので摂取したい食品です。
4.感情を高める
日常の中で、喜怒哀楽の感情を引き出すことでも、セロトニンの分泌は促進されます。特に、涙を流すことは効果的です。
「泣いたらスッキリした」という経験は、セロトニンによるものだと言われています。映画や音楽などで、能動的に涙を流すことも、セロトニンを増やすためにおすすめの方法です。
5.腸内環境を整える
体内にあるセロトニンの約9割は腸にあります。腸で吸収したセロトニンのもととなる必須アミノ酸が、脳に届いてセロトニンとなります。そのため、腸内環境を整っていないと、十分な量のセロトニンが脳で生成されないのです。
腸内環境を整えるために、腸内細菌のエサとなる食物繊維を摂ることをおすすめします。特に、水溶性食物繊維が多く含まれる、豆類やキノコ類が効果的です。
セロトニンは快眠にもつながる
セロトニンを午前中に十分生成することは、安眠の手助けにもなります。神経伝達物質であるセロトニンは夜になると、睡眠ホルモンであるメラトニンに変わります。このメラトニンによって、私たちは夜になると眠くなるのです。
また、起床後に日光を浴びることでメラトニンの分泌がおさまり、セロトニンの分泌が始まります。セロトニンによって、質の良い睡眠をとることができ、身体の疲れも癒すことができます。
雨の日、冬の薄暗い朝は憂鬱(ゆううつ)な気分になりがち…
これまで見てきて、日光浴が一番取り入れやすい方法だと感じているかもしれません。しかし、雨の日や太陽が出ていない朝はどうすればいいのでしょうか。
たとえ曇っていても、雨が降っていても、太陽の光は届いています。一般的な蛍光灯の光では、セロトニンの分泌促進には不十分ですが、雨や曇りの日の太陽光にはセロトニン分泌を促進するほどの明るさがあります。雨だからといって閉め切ってしまうのではなく、窓際に行くことが大切です。
また、階段昇降などの軽いリズム運動を、午前中に行うことでセロトニンが分泌され、やる気が出やすくなります。
まとめ
「幸せホルモン」セロトニンは、私たちの心を健康に保つために重要な物質です。セロトニンが増加すれば、一日のパフォーマンスも上がり、しっかりと休息もとることができます。
「最近イライラする」「今日はやる気がでないな」と感じたら、先ほどご紹介した、セロトニンを増やすための5つの方法をぜひ実践してみてくださいね。