レジリエンスを高める7つの技術│⑦「過去の痛い経験」から意味を学ぼう!

日々のストレスやプレッシャーと上手に付き合う方法として「レジリエンスを高める7つの技術」の連載をしています。

前回は6つ目の技術「感謝のボジティプ感情を高めよう!」の詳細を解説しました。

それでは今回は、最後の7つ目の技術である「過去の痛い経験から意味を学ぶ」という技術についてご紹介します。

レジリエンスとは、
全米心理学会によると「逆境や困難、強いストレスに直面したときに適応する精神力と心理的プロセス」と定義されています。

「レジリエンス」を高める目的は、強いストレスを感じても柔軟に受け流し、打たれても立ち上がる逆境に強い心を育てることです。

目次

逆境の経験からの成長

人は辛い経験や、心の痛む経験を乗り越える際に大きく人として成長する時があります。

あまりピンとこない人はスポーツのトレーニングを思い浮かべてみてください。例えば、腕立て伏せをしている時、もうこれ以上できないという段階から、さらにラスト3回頑張ることで筋肉がつくようになります。

これと同じように逆境を乗り越えた際に、人としてさらに成長します。これをPTG※と言います。

※ 親しい人との死別や自身の傷病、災害などのストレスフルな体験の後に、他者との関係の大切さに気づくことや精神的な変容が生じること、人間としての強さを獲得することなどの人間的な成長が生じることをPosttraumatic Growth(PTG)とよぶ。

PTG は、Tedeschi & Calhoun(1996)によって「危機的な出来事や困難な経験における精神的なもがき・闘いの結果生じるポジティブな心理的変容の体験のこと」と定義されている。PTGを知覚するメカニズムの1つとして困難な状況の中でポジティブな意味を探求・生成することが挙げられている。つまり、ストレスフルな体験では、それに伴うネガティブな側面にのみにとらわれがちになるが、そのストレスフルな体験を通して何かしらのポジティブな側面を見出すことによって、ストレス体験から自己の成長が生じるということである。

そのため、自身が体験した出来事から少しでもポジティブに捉えられる要素に気づくことによって、ストレスフルな体験を自身の人間的な成長の機会とすることができるかもしれない。

引用元:J -REBT 日本人性哲学感情心理学会 http://j-rebt.org/mental-support

仕事の例で考えてみましょう。仕事でミスをしてしまい上司に叱責され一時的に強く落ち込んでしまったとという状況を考えてみてください。その時になぜミスをしてしまったのか冷静に考え、原因を突き止めて再発を防止する業務プロセスに改善することができれば、同じ問題に直面した際でも対処できるようになります。

また人間関係で苦い経験をした時、今後その人とどのように付き合っていけばいいのか、どうしたら他の人との関係を悪くさせないか分かってくるようになります。

このように逆境を経験し、それを乗り越えたときに、1つ自分の中でレベルアップする、その逆境経験の意味を学ぶためには、「自己認識力」を高めることが重要になってきます。

自分の内面と向き合おう

逆境を経験した直後はなかなか冷静にはなれませんが、数日、数週間経てば冷静さを取り戻すことができることでしょう。その際に、休日を利用して家事や育児、やらないといけないことなど日常生活を離れ、自分自身を内省する時間を取るようにしましょう。

内省するときに重要な点は、自分を「客観視」することです。失敗したこと、苦労したこと、辛かったことを、第三者目線で客観的に捉えます。なぜそのような経験をしたのだろうか、そのときなぜそういう反応をしたのかなどを考えることで自分自身と向き合い、自分の本質を考えます。思い悩むのではなく、どうしてそのような経験をしたのか考えていくと、自分の内面にある良さや、自分らしさに気が付くと思います。

心身をリフレッシュして、新たに再スタートを切るポジティブな思考を得られることが期待できます。

時々、内省する時間を設け、立ち止まって自分自身を客観的に見つめ直すことが大切です。

ライフチャートを書いて逆境の経験から「意味」を学ぼう

人間生きていれば、いい時もあれば、苦しい時もあると思います。その苦しかった逆境の意味を振り返って学ぶためには、その時々のライフチャートを作成し、客観的に見える化することが必要です。

*注意点
この作業は、必ず逆境を乗り越えてから実施してください。乗り越える前だと返って逆効果となる可能性があります。

【ライフチャートの例】

《出典:KIPカウンセリング https://kip-biz.com/career/lifeline-chart/

縦軸には幸福感や心理状態横軸には年齢や時間を設定します。上記の例は生まれてから現在までの人生の全てを書き出していますが、人生のある特定の期間を切り出して見える化しても大丈夫です。

例えば社会人になってからの仕事に関することであれば、会社で任されたプロジェクトや出会った人との人間関係、仕事のミスやピンチ、褒められたことなど、その時々の心理状態を詳しく具体的に記入していきましょう。

ここで、注目すべき点は仕事のミスやピンチなど逆境を乗り越えた時の気持ちや行動を思い返してみてください。そして、その経験はのちにどのような意味を持ったのかという点についても内省して考えてみてください。

まとめ

私たちは過去の良くない思い出については忘れてしまっているかもしれませんが、人生の中で多くの逆境を乗り越えて現在に至っています。

これまでの人生で逆境を乗り越えることができていますので、まず逆境は乗り越えられるものだと認識することから始めてみてください。逆境を乗り越える力はあなたには必ずあります。

ライフチャートを通してどのように逆境を乗り越えたのか、そのきっかけは?その時の考えは?と客観的に捉えることで、現在直面している逆境や、これから遭遇する逆境を乗り越えるヒントが見つかるかもしれません。

今まで個人として取り組むことができるワークとして「レジリエンスを高める7つの技術」をお伝えしてきました。

次回は最終回です。最終回は所属する組織やコミュニティ全体で活用できる「救援希求行動」についてご紹介します。

お互いに助け合える良い環境をつくることの重要性に最後は着目して、お伝えしていきたいと思います。

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