【臨床心理士に聞く】気分の浮き沈みとうつ状態の違いは?対処法も解説

ただの気分の浮き沈みなのか、うつ状態なのかはどう判断すればいいの?

医学的な抑うつの目安としては、「ほとんど一日中、気分が落ち込んでいる状況が2週間以上続いていること」、という基準が設けられています。

また、興味の喪失(例:趣味が楽しくない、そもそもやろうと思わない、など)も比較的判断しやすい症状かと思われます。

逆に、「気分が高まり過ぎてしまう」、「眠らなくてもハイテンション」、「後先考えずに高い買い物を繰り返してしまう(いつの間にか借金ができていた…)」などは、躁状態(そうじょうたい):《病的なまでに気分が高揚して、開放的になったり怒りっぽくなったりした状態》になっている可能性もあるので、そちらも気を付けてください(躁状態のとき、本人は気付きにくいので、周囲が気にかけておくことが大切です)。

いずれにせよ、「あれ?いつもと違うな?」という状態が思った以上に続いている場合は、周囲の人や専門機関に相談してみると良いでしょう。

うつは甘えなの?

何にストレスを感じるかは個人差が大きいため、心の問題は理解されにくいという側面があります。

しかし、「うつは甘えではない」というのが私の見解です。思うように活動できない苦しさ、罪悪感、焦り…こんなにも辛い状況を、ただの「甘え」とは思えないからです。

たくさん頑張ってきたのだから、今は自信を持って休んでいい。

もしどうしても割り切れなければ、「休むのも仕事のうち」と自分に声を掛けてあげてください。

そしてやはり欠かせないのは、周囲の理解。「自分にとってはできることだけれど、あの人にとってはどうだろう?」と、相手の状況を想像してみることから始めてください。

仕事中にうつ症状が出るけど、休日は症状が出ないのはなぜ?対処法はある?

いわゆる「新型うつ」と呼ばれているような症状ですね。

ただし、これは医学的にきちんと定義された疾患ではありません。なので、あくまでも様々な専門家が私見を述べている域にとどまりますが、傷つきやすい人ほどこういった症状が出やすいと思われます。

たとえば、「仕事中ミスしたらどうしよう…最近出勤できていないことを責められたらどうしよう…」と考えてしまう。そして叱られている自分や呆れられている自分をイメージして、「恥ずかしい」「見限られたかも」という気持ちが湧いてくる。それが現実に起こって傷つくことを避けるために、休んでしまうという悪循環に陥っているかもしれません。

しかし休日であれば、少なくともその日は「誰にも責められない」「欠勤の連絡から解放される」という思いから、傷つく可能性は平日より低いでしょう。そのため症状が出にくいのかもしれません。

対処法としては、状況をじっくり分析してみることが有効でしょう。仕事中と休日のそれぞれでどんなことを考え、どのような感情が浮かんでいるのか?身体の反応はどうなっているのか?

こうしたことを丁寧に洗い出して、状況の違いを見つけてみると良いかもしれません。ちなみに、頭の中だけで考えているとグルグルしてしまうので、紙に書きだすのがポイントです。

そうすることで、

・~の作業、~の場面が苦手なのだ
・~と言われると怖くなってしまうのだ

などが見えてきて、そうした場面を避けたり、人事に相談したりと、具体的な対策に繋がっていくと思われます。

臨床心理士 Haru

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